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尿路結石破砕治療

尿路結石、症状、検査、治療、予防

尿路結石とはおしっこの通り道(尿路※1)にできる石のことで、40歳から60歳代にかけて多い病気です。夏場に多く、また何度もくり返し再発しますので1~2年に一度は検診を受けた方が良いと思われます。日本人では10万人に54人の割合でこの病気にかかるといわれています。三重県は日本の中ではまん中より少し多い地域です。

原因は尿路感染(細菌)、尿流停滞(流れが悪い)、過尿酸尿症(血液中の尿酸が多い)、痛風、長期臥床(寝たきり)などが考えられますが、約80%は原因不明です。成分は約70%がカルシウム結石で、15~20%は感染結石、10~15%が尿酸・シスチンなどの代謝異常によるものです。

※1 尿路
腎臓:尿をつくるところ
尿管:尿を腎臓から膀胱へ運ぶ細い管
膀胱:尿を溜め、体の外に出すところ

上部尿路(腎・尿管)結石

症状

ほとんどの人は横腹から背中にかけての痛みか、下腹の痛みを訴えます。
肉眼的な血尿を伴う人もみえます。
なかには吐き気や、嘔吐する人もみえます。
痛みを伴わずに血尿だけを認める人もみえます。
腎臓に大きな結石があると細菌が入り込みやすく、細菌が入り込むと高熱をだします。
最近では人間ドックで超音波検査やCT検査で偶然結石が見つかる人も増えてきました。

結石が出来る場所により
痛みの部位が変わります

検査・診断

まず検尿をとって、尿に血液や細菌が混じっていないかどうか確認します。

次に通常は単純X線写真、腎臓から膀胱までを含めるKUBという撮影をします。

KUBで写らない結石(尿酸結石など)もあるので、腹部CTを撮影しますまた、DIPという造影剤の検査も行う事もあります。

造影剤を使うと腎臓の形とはたらきがわかります。

超音波検査で簡単にわかる人もいます。

結石の確定ができない場合は、逆行性腎盂尿管撮影をします。

治療

結石が小さい場合(4mm以下)は、ほとんど自然に排石されます。腎臓の中にある場合は通常放置します。ただしパイロット、遠洋漁業者など職場に復帰できない場合は小さくても破砕します。尿管にある場合は、排石促進剤と鎮痛剤を服用しながら飲水を増やします。(約2000ml/日)5mm以上の結石は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の適応になります。4mm以下の小さな破片にするのが目的です。

破砕困難な結石に対しては膀胱経由で細いカテーテルという管を結石部位まで挿入した上で結石を破砕すると割れやすくなります。

20mm以上の大きな結石には、腎臓と膀胱をつなぐ体内入れ込み式のカテーテルを入れて治療します。これは結石破片が尿管に長期間つまっていても腎臓の働きが悪くならないようにするためです。

破砕装置は何種類もありますが、当院はドライタイプのモデュリスSLX-F2装置です。

ESWLだけで治療困難な場合は背中から腎臓に直接穴を明けて、直径1cmほどの内視鏡を腎臓に入れて、結石を破砕摘出することもあります。経皮的腎尿管結石摘出術(PNL)といいます。

また尿道膀胱を介して尿管に内視鏡を入れて結石を破砕治療することもあります。経尿道的尿管結石摘出術(TUL)といいます。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

ESWLとは体外衝撃波結石破砕術(Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy)のことで、現在は(平成18年7月から)モデュリスSLX-F2というドライタイプの破砕機を使用しています。

モデュリスSLX-F2では円筒型電磁交換方式を採用して、パラボラ型反射体を介して衝撃波を集約し結石を破砕します。焦点エネルギーが高く、安定したエネルギーの衝撃波を発生できます。口径が大きく、疼痛が少ないとう特徴があります。また焦点深度が深く肥満の方にも対応できます。

身体の組織や骨は、水と音響学的伝導率が近似しているため衝撃波による影響はなく、音響学的伝導率が異なる結石に対してのみ破壊作用が生じます。このため安全に結石の破砕を行うことができます。

  • ・手術時間は平均40分~50分です。
  • ・原則として無麻酔です。
  • ・退院翌日から社会復帰できます。
  • ・何度も手術できます。
  • ・体の負担が少ないので高齢者や合併症のある方でも治療できます。
  • ・一度で結石が割れない人もみえますので、そのときは4~5日おいてもう一度ESWLを・・行うか、一旦退院して1~2週後にESWLを行うか相談させていただきます

 

尿路結石の破砕成績

2012年末で10,000例での上部尿路結石症に対するESWL治療の成績は、尿管結石の砕石率は約97.7%で、完全消失率は約89.0%と非常に良好な成績を得ています。腎珊瑚樹状結石などの大結石ではESWLに内視鏡を併用し、超音波結石破砕装置や圧縮空気砕石装置(リソクラスト)を駆使して治療を完遂しています。現在も年間約300~350例の尿路結石患者さんにESWLを施行しています。

上部尿路結石の予防

尿路結石は非常に再発しやすい疾患で、結石患者さんのうち約半数の人が5年以内にまた結石ができてしまうといわれています。結石の種類によっては薬で再発を予防するという方法もありますが、最も一般的なシュウ酸カルシウムという結石では残念ながら有効な薬剤はありません。

そこで少しでも再発を減らすには、一日約2000mlの飲水をして尿をうすめます。これでいままで2年ごとに結石ができていた方が5年できなかったとか、5年ごとに結石ができていた方が10年できなかったという程度の効果は認められます。

それから人間だれでも夜中に起きるのは辛いものです。必然的に夜中に起きなくてもすむように通常夜間には抗利尿ホルモンが分泌されて尿量が減少します。そこで夕食が遅かったり、夜食を食べたりすると、尿量が減少したところへ結石の成分となるものが大量に出てきて結晶をつくってしまいます。特に焼肉などは、尿酸を大量に含んでいますので気をつけて下さい。夜食はひかえめに! 夕食は早めに! バランスの良い食事を!

下部尿路(膀胱)結石

症状

下部尿路結石というのは通常膀胱結石のことで、膀胱に結石ができるということは基礎的に排尿障害が存在することが多いです。

普通は腎臓から膀胱までおりてくるような大きさの結石は排尿とともに体外に排泄されるからです。
ですから症状としては基礎の病気の症状、すなわち尿が出にくいとかおしっこが近いとか、おしっこが漏れるとか、おしっこが残るなどです。

結石ができると尿路感染、すなわち膀胱炎を生じやすくなります。膀胱炎になりますと、おしっこをするとき痛みがともないます。おしっこに血がまじることもあります。

また膀胱の結石では尿線の途絶といって、おしっこが途中で突然ピタッととまってしまうことがあります。前かがみになったり、横になったりするとまたおしっこが出てくることもあります。

検査・診断

まず検尿をとって、尿に血液や細菌が混じっていないかどうか確認します。

次に通常は単純X線写真、腎臓から膀胱までを含めるKUBという撮影をします。

超音波検査で簡単にわかる人もいます。腹部CTでわかる人もいます。

KUBで写らない結石(尿酸結石など)もあるので、膀胱造影で確かめることもあります。

もっと直接的に膀胱鏡というカメラで膀胱の中を見るとよくわかります。

治療

結石が小さい場合は、膀胱鏡というカメラを膀胱にいれて洗うだけで結石を取り除くことができます。

しかし、普通はもっと結石は大きくて、内視鏡的に超音波とか、振動棒(リソクラスト)水圧波などで結石を小さく破砕してから洗い出します。

内視鏡(膀胱鏡)で手術をしますが、やはり痲酔が必要ですので約1週間の入院治療となります。

たまにたいへん大きな膀胱結石の方がみえます。砕石・洗浄が困難な場合は下腹部を10cmほど切開して結石をとりだすこともあります。

結石だけの治療ですとまたすぐに再発しますので、基礎になる病気(前立腺肥大症など※2)を治療しておく必要があります。

※2 前立腺肥大症

若い頃には精子を保護するための前立腺液という精液をつくっていたところですが、残念ですが年をとるにつれてあまり必要でなくなってきます。必要でないどころか、50歳をこえる頃からだんだん大きくなってきて尿道(おしっこの出てくる道)の奥の方を圧迫してしまい、おしっこが出にくくなってきます。これが前立腺肥大症です。

下部尿路結石の予防

下部尿路結石の原因には少なからず排尿障害という基礎的な病気が合併していることが多いので、これを放置しますと多くの方が再発してしまいます。そこで予防としましてはこれらの治療をしておくことをお勧めします。

またもう一つの原因として尿路感染症、すなわち尿に細菌が住み込んでしまった状態ですが、慢性膀胱炎になりますと尿に白血球がでてきて、細菌とたたかいます。そして白血球も細菌もともに死んでしまいます。その死骸がたくさん集まって、結石の核になりやがて大きく育ちます。ですから慢性の尿路感染症を治療しておくことも大切なことと思われます。

平成18年9月21日の朝日新聞に記者の経験を基にした尿路結石症の記事が掲載されました。 当院での治療をもとに元名誉院長(当時院長)の説明も紹介されています。

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